誰かの願いが叶うころ あの子が泣いてるよ
みんなの願いは同時には叶わない
――宇多田ヒカル「誰かの願いが叶うころ」
叶えられたらいいのに。
もうずっと、壊れてしまいたい。
そう願うことが、どんなに酷いことなのか知ってるのに。
生きていて欲しい。
幸せだって、感じて欲しい。
少しでも生きてて良かったと思う瞬間があるのなら、
いなくならないで欲しい。
そんな風に思うのに。
自分は苦しみから逃げたくて仕方がないなんて。
いつとも知れぬ「いつか」の為に、生きろだなんて。
もう言えない。
「生きていて」なんて、もう誰にも言えない。
死なれたら悲しい。
「もういない」って、何度も思い知らされる。
その不在に心を削られる。
少しずつ薄れていくのが恐くて輪郭を何度も辿るけど、
生きている時間に流されて、ますますぼやけていく。
辿る指先が輪郭を更に削っていく。
時折訪れる、フラッシュバックだけを残して。
知ってるのに。
酷いことを言ってしまいそうで、恐い。
他人が持っている幸せが羨ましい。
自分が持っている幸せを忘れて、難癖を付けたくなる。
大事な人たちにさえ。
言わなくたって同じだ。
思っていたら。
一緒に笑いながら、そんなことばかり考える自分が嫌だ。
そんな自分を知られたくなくて、笑顔を貼り付けている自分が嫌だ。
誰も悪くないの。
それは分かっているの。
皆、幸せになりたいだけで。
あの人の願いが、叶わないだけで。
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